カフラー王説への批判 その2
石碑に「カフ」という字句が記されていることは、「なんの証明にもならない」と、ある著名なエジプト学者は率直に認めています。
周知のように、エジプトの王の名前は、つねにカルトゥーシュと呼ばれる長円形の縁飾りでかこまれています。
ところがスフィンクスの石碑には、カフという字句のまわりにカルトゥーシュの跡がまったく見られないのです。
王室の書記がかくも重要な碑板を仕上げる際に、こんな過ちをおかすとはとうてい考えられません。
この石碑にしばしばあらわれるトトメス4世の名が、つねにカルトゥーシュでかこまれていることだけでも、書記がこの重要な慣例を熟知していたことを証明しています。
しかし、たとえこの字句がカフラーの名前だとしても、それによってこのファラオがスフィンクスも建てさせたことには決してなりません。
カフラーは後代の多くのファラオのように、あるいは前代のファラオもすでにやっていたかもしれないですが、スフィンクスの修復や改装を行うことによって、はるかに古い記念物を自分の栄光に結びつけたのかもしれません。
そういうことが古代エジプトで実際に行われた例はいくつもあるのです。
